03 建ものがたり
Tatemonogatari
雪国の家には
哲学と知恵が宿っています
雪国の家には
哲学と知恵が宿っています
家は誰にとっても大切な場所ですが、とおかまちに建つ家は豪雪から家族の命と財産と思い出を守り春を迎える準備作業をするための場所でした。そして安心して眠りにつくことができるよう多くの知恵と工夫が施されてきました。
豪雪地で冬を越すのは、並大抵の家では太刀打ちができません。昔の農家の家には、雪の重みに耐えられるように太い柱や梁が施され、とにかく頑丈な構造で、茅葺き屋根が葺かれました。また、同じ棟の入り口にうまやを作り、豪雪で外に出られなくても馬や牛の世話ができるような建築方法「中門造り」が採用されました。家が雪で埋まっても太陽光を取り入れられるよう、高所に窓を設ていることもあります。こうした機能と風雪が刻む美しさを湛えた家で長い冬を過ごしたのです。
今では中門造りの家は少なくなりましたが、1階をまるっと高床式にして2階3階を居住空間にするなど、豪雪対策の知恵はしっかりと受け継がれ、雪国ならではの街の景観を作りだしています。
命を守るために、共に生きるために ―豪雪地の建ものがたり―
雪国の冬、人々は一日の大半を家で過ごします。家は生活の拠点であり、作業場であり、食料・燃料などの貯蔵場でもあります。その大切な家を雪から守ることは、雪国の人々にとって極めて重要な永遠のテーマです。
建造物に太い柱や梁を使い強固な構造とすることはもちろん、急勾配の茅葺屋根や農家の「中門造り」、梁を伸ばして深い軒先をつくる「船枻〔せがい〕造り」などの建築様式は、先人たちの雪との闘いの歴史を表しています。
秋のうちに、建物を板で覆う「雪囲い」をしておき、風雪から守ります。また、深雪の中から家を掘り出すかのような屋根の除雪「雪掘り」は、豪雪地で暮らす人々の宿命ともいえる作業で、危険を伴う重労働でした。現在市内では、居住部分を2・3階に配した高床式の住宅や、落雪・融雪屋根の住宅、耐雪住宅が普及しています。雪国に建つ家々は、雪と闘い共生してきた人々の知恵と工夫の結晶です。
日本遺産「究極の雪国とおかまち ―真説!豪雪地ものがたり― 」の
ストーリー全文はこちらから
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