着ものがたり

越後アンギン製作技術

十日町市登録地域文化財

奇跡的に伝承されたアンギンを編む技術
手仕事をしながら待ちわびる春の到来

アンギンは、十日町市・津南町の妻有地域で近代まで農作業の仕事着として着用されていました。その後、編む技術は途絶え、「幻の布」と呼ばれるようになりました。しかし製作技術をもった人が1人だけ存在することがわかり、昭和36年(1961年)、製法が記録・復元され、奇跡的に技術が伝承されました。
アンギンの糸づくりは1年がかりで行われます。夏頃に※カラムシ・アカソ・ミヤマイラクサなどの植物を野山で収穫し、茎から細長い繊維を取り出し、縄状に撚〔よ〕りながら繋いで糸を作ります。出来上がった糸はアンギン台にかけてタテ糸とヨコ糸を絡めながら編みます。1着分の布地を編むのに1年以上かかったと言われます。
この地に住む人たちは縄文時代から、雪に閉ざされた長い冬の間、住居の中で火を囲みながら様々な手仕事をしていました。アンギンの糸を作り、編み、様々な道具や服に仕立てながら、春の訪れを待ちわびていたのかもしれません。
※カラムシ・アカソ・ミヤマイラクサ…イラクサ科の多年生植物。



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