建ものがたり
豪雪に耐える建築の技術
豪雪に負けない建築様式
進化を続ける克雪住宅
十日町地方に大量の雪が降るようになったのは縄文時代中期以降と言われます。人々は長い歴史の中で、住宅や建物に様々な工夫を凝らしてきました。
「船枻〔せがい〕造り」は、軒を裏から補強して深い軒先を造る建築様式です。補強した部分が船のへりの「枻」の部分に似ていることからついた名で、積雪があっても軒下に空間ができるという利点があります。太い梁が並ぶ軒先は家を立派に見せるので、経済的に豊かな家が好んで造ったと言われています。
「中門造り」は、出入口部分が大きく突き出した造りです。突き出た部分は、馬の出し入れ口をつけて厩〔うまや〕にしたり、厠〔かわや〕を設けたり、物置にしたりしていました。冬の間、できるだけ家の外に出ることなく生活ができるよう考えられています。積もった雪が自然に落下する急勾配の茅葺屋根や、積雪の重圧に耐える太い柱や梁を使った頑丈な骨組みなども、雪国の気候に適した建築様式です。
現在は「克雪住宅」と呼ばれる住宅が開発されています。住居部分を2・3階に配した高床住宅、屋根を急勾配にして雪を自然落下させる落雪住宅、積雪荷重に耐える耐雪住宅、熱で雪を解かす融雪屋根など、雪国に建つ家々は、雪と闘い共存してきた人々の知恵と工夫の結晶です。