12Rich. 4ツケナとニーナ食べたい時に食べたいものを買って食べられる便利な世の中だけれど、ここにはずっと変わらない豊かな保存食文化がある。雪に閉ざされる半年間のために、春の山菜を塩漬けにしたり天日干しにしたり。秋のキノコも干したり瓶詰めに。野菜だって、雪の中で保存して鮮度と旨味を維持している。食べることは生きること。言うのは簡単だけれど、そのために膨大な知恵と経験を蓄積してきた、この地の保存食。それがいつしか心と身体を満たす、かけがえのない郷土料理になっていた。「しみじみ美味しい」口に運ぶと、思わずそう呟いてしまう。とおかまちの郷土料理が、私の心の郷土料理になる。スノウリッチだから成せる技と心がここにある。「ツケナ(漬け菜)」は野沢菜漬の十日町での呼び名。ツケナを煮込んで味付けした惣菜が「ニーナ」(煮菜)。この地を代表する伝統食の1つで、冬から春の食卓に欠かせない滋味深い美味さの決め手は雪にありました郷土料理、心豊かになるごちそうを味わう
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